不眠症について
現代の不眠症は「運動不足」が多い
正直、不眠症という診断名に当てはめていいのかなと思ってしまう様な不眠症、いわゆる「入眠障害」で悩む人が増えています。
とにかく運動不足が酷い。
身体が全く疲労していないのです。その一方で脳はとても疲労をしています。現代の不眠症はこのパターンが半数以上当てはまっています。
身体と脳の疲労が一致せず、かなりのギャップが生まれているのです。
脳と身体のギャップを埋める事が先決
運動習慣が豊富で不眠・入眠障害に悩む人は殆どいません。小学生や未就学児が昼寝をし過ぎて夜、眠れなくなったという事があるくらいです。
これは疲労がリセットされてしまった為に体内時計のリズムと疲労の程度が一致しなくなったことで起こる入眠障害です。一過性のものなので特に気にする必要もありません。
あまり細かいことを気にすることよりも、1日の中でしっかりと運動をする習慣を取り入れる事から始めましょう。来院される不眠・入眠障害に悩まれている患者様の多くはこれだけで改善ないし解消しています。
不眠症・入眠障害の最優先項目は「運動習慣」です。薬などを服用する事を検討するのは後の話です。
睡眠ホルモンの話は後でいい
不眠症や入眠障害の原因を検討する際、どうしても「睡眠ホルモン」等の内分泌系の話が出てくることが多いです。これは最初は忘れてください。
不眠・入眠障害における最大の原因は「運動不足」です。2番目の要因は「デジタルの刺激」です。明かりの問題も出てくることが多いですが、運動をしっかりして、デジタル機器との距離を適切に取っていれば明かりがある場所であっても脳と身体は素直に睡眠を求めてきます。
「瞼が重くなる」というのがまさにそれです。
ですので、ホルモンの話は一旦忘れてください。睡眠ホルモンに狙いを定めるよりも「適切な運動」と「デジタル機器との距離」の調整によって自然と睡眠ホルモンが出てくる様にしましょう。そうすれば身体と脳は自然と睡眠を欲します。
10代の入眠障害・不眠症は運動不足とスマホ・ネットが原因
10代の学生さんが悩む入眠障害・不眠症は運動不足とスマホが原因であることが圧倒的です。寝る直前までスマホを触る行為が当たり前になっているので脳が常に覚醒を促されてしまいます。
スマホを握りしめながら寝落ちをする日常の場合は寝起きの質も低下します。結果的に遅刻が増えたり無気力が出てきたりと厄介な症状が出てくることも多いです。
- 「スマホからの明るいライトを常に受け続ける事」
- 「スマホの小さな文字を見続けるという事」
この二つの現象は「目」と「脳」にとても負担が掛かります。最近、話題になってきた「IT眼症」を引き起こす要因となります。自覚症状がないことを「身体は平気」と受け止めるのは大間違いです。脳は休めば回復しますが、眼は歯と同じで消耗品の1点物です。歯程ではありませんが、不可逆性をもった器官だと考えてください。
負担をかけ続けると白内障や緑内障といった目の疾患を早くに引き寄せてしまう可能性が高くなります。大切に使えば一生使えますが、一度壊れると簡単には元に戻りません。それが目です。
運動不足は運動をすれば解決します
不眠症・入眠障害のもう一つの要因である「運動不足」は普通に運動習慣を取り入れることであっという間に解決をします。おススメの運動習慣は「歩く」です。自転車は太ももの筋肉ばかりを使うので余りおすすめはしていません。
なるべくしっかり関節運動を伴う全身運動に取り組みましょう。
スマホでも運動不足でもない場合
10代の不眠症・入眠障害で「運動不足はない」「スマホも使っていない」という状況にある場合は「人間関係」「就学環境」などの問題であることが多いです。
いわゆるストレスです
心の中に「引っかかる何か」が常にある為に心が安心できず入眠障害を引き起こします。10代で多いのは「恋愛」系の悩みです。次に多いのは「友達との付き合い」で、最後に「家の居心地」となります。
来院される患者様に限るなら「恋愛」と「友達」が多いです。受験が近づくと増えていく傾向もありますが、これはもう「合格できるか」というプレッシャーが入眠障害を引き起こしています。
「まだまだやれることがあるはずだ」「大丈夫かな」等の様々な感情がないまぜになって心が小さなパニックになるのです。こうなると寝ようとしても静かな環境が余計に思考を呼び出してしまい眠れなくなってしまいます。ですが、これは一過性のものです。