その6:椎間板ヘルニアからの職場復帰の期間は?
椎間板ヘルニアを発症して、身動きが取れなくなった患者様が真っ先に頭に浮かぶことは「職場復帰はいつ頃にできるのか?」という点です。
日本人の良いところであり悪いところでもあるのですが「周囲に迷惑をかけられない」と自分の身体の心配よりも周囲に対する心配をします。
これがヘルニア患者の地獄を生み出す要因だと覚えておいてください。
1~2週間での復帰はまず無理です。
椎間板ヘルニアはぎっくり腰や慢性化した腰痛とは全く事情が違います。
ぎっくり腰なら2~3日の安静で動ける様になりますし、慢性化した腰痛の場合は多少の無理をしたところで身体が壊れるという事はまずありません。
でもヘルニアは違います。
発症後2~3日で痛み止めを服用しながら出勤する人もいますが、ヘルニアが悪化して状況がより一層深刻になるケースが殆どです。
ヘルニアは1~2週間での職場復帰は無謀です。
1ヶ月の安静で動けるようになることが多い
椎間板ヘルニアの安静入院は基本的には1ヶ月が多いです。
1ヶ月間ゆっくりと療養することでヘルニアを起こしている周辺の組織・筋肉が落ち着きを見せますのである程度は動ける様になってきます。
椎間板ヘルニアを発症した場合、安静入院にせよ自宅療養にせよ、1ヶ月程度の期間を目安にしておきましょう。
ヘルニアは冗談ではなく人生の分岐点になるケースが多い疾患です。くれぐれも「まぁ腰痛がひどくなっちゃった程度だろう」と軽く考えないようにしてください。
目先より将来を見据えて行動しましょう。
ぎっくり腰にしても椎間板ヘルニアにしても、日本人はとにかく「組織優先」で物を考えがちです。「私がいないと周りに迷惑をかけてしまう」と責任感が優先されるのです。それはとても素敵な美徳だと思いますが、ヘルニアの場合は余程の事が無い限りは自分の健康を最優先にして動いてください。
椎間板ヘルニアをはじめとする神経痛症状は本当に一生ものの傷となる場合があります。ここで踏ん張って治し切らないと今後の仕事の選択肢が一気に減ってしまうのです。神経痛症状は本当に馬鹿にしてはいけないのです。
可能なら休職してでも完治を目指しましょう。
私が椎間板ヘルニアで悩む患者さんにアドバイスをする時、いつも「休職できるならした方が良い」と伝えています。
ここで無理をして出勤し、身体を壊して自主退職となる人を沢山見てきたからです。
ヘルニアが進行して手術を選択した方もいました。
症状が残った人もいますし、症状が取れたと喜んでいたら半年後に症状が戻ってきた人もいました。
手術は1度したら引き返せません。
「やり直し」がきかない世界です。しかも執刀する側の論理とされる側の論理の乖離がかなり大きいので認識に溝が生まれがちです。
執刀側は「ヘルニアはきれいに取れた。成功です」と言っている一方で、患者は「いや、痺れが半分近く残っているんですけど。。。」という押し問答になる事も少なくありません。
私は手術のリスクの大きさを目の当たりにしてきました。
だから手術をして即職場復帰を選ぶくらいなら、休職してでも完治を目指すべきだと思います。
会社に迷惑をかけてしまうなら、完全復帰してから倍返しをした方が良いと思うのです。
椎間板ヘルニアは家族の理解が得られるのであれば絶対に完治を最優先にしてください。
1週間先の仕事の心配よりも1年先、5年先の自分自身の心配をしてください。