身体と会話ができる様になると
身体と会話ができる様になると「自分でできる事」が一気に広がります。
- え?専門の器具が必要じゃないの?
- え?専門の知識が必要じゃないの?
- え?専門の資格が必要じゃないの?
多くの人が誤解をしていますが「健康」とは本来とても身近なものです。決して専門的な知識も器具も必要としません。もちろん資格も必要としません。
「知るか知らないか」と「気付くか気付かないか」の違いだけです。
「専門家から指導を受けないと効果が無い」という固定観念を打ち壊せる唯一の手段が「身体と会話ができる」様になることです。
1.身体の軽さに気付く
身体と会話ができる様になると、ふとした瞬間の「身体の軽さ」に気付きます。10㎏のダイエットをした様な急激な変化は起こりませんが、様々な場面で「あれ?そういえば。。。。」と以前とは違う身のこなしを感じる事が出てきます。
身体の小さな変化をしっかり感じ取る事ができる様になるのです。
筋肉の稼働数が変わっていく
様々な場面で「あれ?」と感じる理由。それは「身体の使い方が以前と違う」という事です。
- 稼働する筋肉の数
- 稼働する筋肉繊維の数
- 連動する筋肉のライン
同じ動きをしていても今までとは違う身体の使い方になっている為、感覚の伝わり方が違ってきます。最初はこれを「違和感」と感じる方が多いですが、これは良い方向の違和感と考えてください。
「今までの普通」だった感覚の方が実は不自然だったということです。
殆どの日本人は「普通」の感覚がズレてしまっています。本来の姿勢、身体の使い方を「変に感じる」くらいに不自然な姿勢や少ない運動習慣が日常となっているのです。
自分の身体と会話ができる様になると体中に染み付いた「錆」が剥がされていく為、使えば使う程に「身体との一体感」を感じれる様になります。
2.身体が求めているものがわかる
身体と会話ができる様になると「身体の声」が感覚的に理解できる様になります。
「あ、今身体が運動を求めているぞ」と本当に感じるのです。
実際に「おい!俺を運動させてくれ!」なんて身体が喋る訳ではありませんが、身体がなんともいえない「ムズムズ感」を感じたりします。その感覚を「ああ、そういうことね」と自分の言葉で解釈できる様になるという事です。
- 身体が休みたがっている
- 身体が歩きたがっている
- 身体が動きたがっている
感覚としては「客観的に自分の身体を見る」感じです。自分の意志とは別の「からだ」という存在をしっかり認識できる様になると今までと同じはずの日常が、今までとは少し違うものに見えていきます。
「世界が広がる」というのは正にそういうことです。
3.身体が喜んでいるのがわかる。
身体の声をしっかり受け止める事ができると「からだが喜んでいる」感覚を感じ取れる様になります。
ヨガや太極拳に取り組んでいる人はこの感覚に対してとても感覚が鋭いです。「自分と身体」を切り分けて見通せる為に「身体が満たされていく」「身体が癒されていく」といった感覚を取り組みの中で感じ取る事ができます。
ここまでくると「身体=パートナー」の様なものです。下手をすれば「自分のからだ」と本当に会話をしている人まで出てきます(笑
でも、それほどまでに「身体の声」が感じ取れる様になるのです。優れたアスリートは自分の身体の声を感じ取れる為に試合中で最高のパフォーマンスを発揮することができます。
メリハリのあるプレイができるのは「からだの声」を常に感じ取っているからです。
極めたくなるヨガ・太極拳
「どうして皆、あんなにハマるの?」と疑問に感じる人も多い「ヨガ」「太極拳」ですが、それは「瞑想」「呼吸」といった取り組みを通して「自分とからだ」を切り離して俯瞰的に感じる事ができているからです。
今まで「一体」とばかり思っていたものが切り離された時の不思議な感覚は文字通り「ハマる」ものであり、さらに奥深く掘り下げていきたくなるのです。
いわば、新しい感覚を開いた訳ですが、日本でのヨガや太極拳はどちらかといえば「フィットネス」側に寄ったものであり、本来の形とは少し違います。良くも悪くもビギナー向け、現代風にアレンジされているものです。
だから、多くの人が「極めたい」とインドや韓国へと渡ります。本来は健康法というより求道的なものなのです。
4.自分で身体と会話を深めていける
身体と会話ができない状態だと「専門家」と呼ばれる人達の指導・指示通りにしか中々行動を起こすことができません。自分で勝手にやると効果が薄れるどころか逆効果になるかもしれないと感じるからです。
ですが、自分で身体と会話ができる様になると「自分自身で掘り下げていく」事が容易になります。時には専門家の言っている内容に納得がいかないこともでてきます。
それはとても良い傾向です。
専門家の言葉よりも自分の体の反応を読み取れているからこそ出てくる感覚です。そしてそれは殆どの場合で「正しい」と言えます。
自分の身体に最適な形を作り上げる
身体と会話ができる様になると、一般的な形ではなく自分の身体に最適な形を自分で模索する道が開けます。
自分の身体が求めているものを自分自身で作り上げる。
それは患者としての一つの到達点です。いわゆる「患者力」が磨き上げられたといえるでしょう。
セルフケアの比率を高くしていこう
自分の身体と会話ができる様になれば、日常におけるセルフケアの領域がどんどん広がっていきます。
今までは遠くのジムに通って指導を受けていた内容を、自分で自宅で行う事ができます。そして効果は専門家の指導を受けるより高くなっていくのです。
自分の身体と日常的にコミュニケーションを取り、身体が何を求めているのか、必要としているのかを読み取り、最適で最も効率的な方法を日常に組み込める様になりましょう。
それが未病予防、予防医学の最後にたどり着く場所です。
忘れた「あの感覚」を取り戻そう
私達人間は元々は「身体の声」をしっかり感じ取れていたはずです。犬や猫をはじめとする動物はそれが今もできています。唯一できていないのは私達人間と私達に飼育されている動物です。
安全を手にして野性を失う程にその傾向が出てくる様です。
「今の時代にその感覚は必要なのか?」という声も聞こえてくると思いますが、野性の時代は「生存」の為にその感覚が鋭く磨かれていました。今の時代は「健康」の為に磨いておく必要があるといえます。
まずは胃腸の声を聞こう
現代で特に顕著なのは「胃腸の声」を聞けている人がほぼいないことです。だから胃腸は春夏秋冬常に悲鳴をあげています。
胃腸やからだが求める物ではなく「自分が欲しいもの、食べたいもの」を優先して摂取している時代にこそ「身体の声を聴く」という置いてきた感覚を取り戻す必要があるのです。
胃腸だけには限らない
勿論、胃腸だけに限りません。
- からだが求める休息
- からだが求める運動
- からだが求める刺激
からだが何を求めているのか?それをしっかり感じ取れる事で「現代病(生活習慣病)」の多くは解決あるいは改善が可能です。
それをせずに自分の欲求を押し通すから身体は悲鳴をあげ、限界を迎えて様々な症状を引き起こすのです。
健康寿命を延ばすために
長生きをするだけでなく、健康寿命を如何に延ばすかが現代の課題です。そしてそれには「からだの声を聴く」という最もシンプルで原始的、そして確実な方法が確立しています。
医療費を減らすために医療ではなく代替医療という選択を。というスローガンを掲げる院がありますが、それだと国の負担は減っても患者様の負担は増える一方です。
そうではなくて医療・代替医療に掛けるお金そのものを減らす為に当院は臨床と向き合っています。